満保善英氏にきく 「 神戸のパン文化を もっと輝かせるために」

interview
満保善英さん(神戸パンプロジェクト事務局、兵庫精米株式会社取締役)
SUMMARY
パンを愛する神戸の文化を再び盛り上げたい!そのためには、ベーカリーをもっと輝かせたい!そんな想いでスタートした、神戸パンプロジェクトについてお聞きしました。
聴き手
村上豪英(神戸モトマチ大学 代表)

プロジェクトのスタート

中央区役所からの呼びかけが全てのはじまりでした。まちづくり推進課がまちの資源を見直していくなかで、スイーツなどと比較しても、パンとその食文化については発信が足りないと再認識されたそうです。このままではいけないと、早速今年(平成25年)の4月には「神戸のパンはなぜおいしいのか。」をテーマとしたトークイベントが開催されました。

そのころ、私はスーパーやコンビニに地元のパン屋さんがどんどん押されている現状を残念に思い、神戸の魅力のひとつであるパン食文化を盛り上げるために、パン屋さんと共同イベントなどを実施していました。中央区役所がパンに関する企画を一緒にしてくれる、民間パートナーを探すために大手製粉メーカーに問合せされたとき、私のこれまでの活動を紹介されたそうです。

中央区役所のまちづくり推進課は、今年の11月を「KOBE  パンのまち散歩」として、8イベントを開催するほかラッピングバスを走らせ、神戸のパン食文化を盛り上げようとしています。私たちも依頼を受け、パン屋さんの連合体として、神戸市役所の産業振興局とともに一つのイベントを担当することになりました。

神戸のパン食文化を取り巻く環境

そもそも今では、パンを焼く技術、売り方、店舗レイアウトなどを学ぶために、フランスからも学びに来るほど、日本のパン屋さんのレベルは高いのです。神戸は開港以来パン食が根付き、パンの消費量・金額では全国でも一位の土地柄です。ドンクさんをはじめとする老舗のパン屋さんが積極的に技術を伝播していたことも、神戸におけるパン食の文化普及に大きな役割を果たしました。

しかしながら、パン食の文化は放っておくと次第に廃れてしまうという危機感があります。実際に全国的に見てもパンの消費量は減っており、そのなかでもコンビニエンスストアの攻勢にさらされている地域のパン屋さんの状況は決してよくありません。本当においしい神戸のパンを守るためには、いま行動しなくてはならないのです。

パン食普及に向けては、業界の団体によるパングランプリ兵庫というコンテスト開催などの動きもありますが、参加できる余裕のあるパン屋さんは限られていますし、受賞したあとのフォローも十分出来ているとはいいきれません。だからこそ、11月に開催する私たちのイベントでは、気持ちのこもったパン職人さんに、しっかりと光があたるきっかけにしたいと考えたのです。

第一歩としてのイベント開催

神戸のパン食文化の普及をめざした第一歩として、2013年11月2日に、「こべっこパン」☓「KOBEにさんがろくプロジェクト」というイベントを朝日ホールの1階ピロティで開催することになりました。わずか数ヶ月の準備期間でしたが、8ベーカリーが参加し、イベントの内容を企画しました。

参加ベーカリーのひとつであるイスズベーカリーには、かつて学生さんのアイデアをもとに地元のシラスやイカナゴを使ったおつまみパンを商品化し、好評だったという成功体験がありました。この事例から着想し、11月のイベントでは、8ベーカリーが4つの大学のゼミとコラボレーションし、参加学生と地元の生産者からのアイデアを、若手パン職人がパンとして表現し、販売することになりました。

農業・漁業・酪農といった兵庫・神戸の豊かな食材と学生さんの若いアイデアを結びつけることで、産官学が協力して地産地消を実現するパンにしたいと考えています。神戸にはパンの原料になる小麦や、桃・トウモロコシなどの生産に汗を流している方々もいます。パンだけでなく、具材となる食材も含めて、地産地消を推進するイベントにしたいと考えていますので、ぜひご来場下さい。

今後の展開

現在の8ベーカリーは、経営者自ら気持ちをこめて毎日パンを焼いている方々です。そういう「パンと会話ができる」ベーカリーに絞りながらも、神戸のパン食文化のことをもっと知ってもらいたいという趣旨に賛同してくれる仲間を徐々に増やし、20ベーカリー程度にはしたいと考えています。

そして、11月の第一回目のイベントは役所との共同開催になりますが、自分たちだけのイベントを今後は開催していきたい。例えば、トラディショナルなバゲットだけに絞ったコンテストや、「ドイツパンの日」など普及のシンボルとなる日の設定、夕食にも合ったおいしいパンの食べ方の発信など、アイデアはたくさんあります。

今回のイベントのために一歩動き出したことで、周りの人々から新しいアイデアをいただくことも増えてきました。一つ一つ実現していくことによって、地域のパン屋さんにスポットライトをあてたいと願っています。その結果、パン職人さんたちのやる気がさらに高まれば、私たちの活動にも広がりがさらに出てくる。そう信じています。


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